センター紹介
センター紹介
2010年以降の深層学習の導入に伴うAIの進展は第四次産業革命を引き起こし、様々な産業・社会基盤に浸透するに至っています。さらに、2020年以降に進展した高度な生成AIは、初等教育から様々なオフィスワークまで広く使われるようになり、従来人間による「知的」な仕事とされていた範疇が見直されるに至っています。AIは今後多くの人々の知的活動を支える「知的アシスタント」となるばかりか、様々な分野において機械学習による解決を提供する基盤モデルを提供しつつあります。一方でAIの生み出す虚偽やバイアス等の問題も指摘されています。これらは理工系だけでなく、人文社会系・医薬学系を含む広範な分野に及ぶもので、すべての大学生・大学院生がAIについて一定のリテラシーを修得することが望まれます。AIのリテラシーとは、その基本的な使い方だけでなく、原理や技術の理解をふまえて、その限界・リスクとともに今後の応用展開、そして倫理・社会的影響の考察を含むものです。
AIのもう一つの特徴は、進展が急速なことです。数年前には考えられたことが実現する一方で、数年前の概念や技術が時代遅れとなることもあるため、教育カリキュラム・コンテンツを整備・更新していくのは容易ではありません。世の中の多くのAIの授業でいまだに多層パーセプトロンの誤差逆伝播学習に基づく教師付き学習でとどまっていることに危惧を感じたこともこのセンター設立の構想の動機となりました。教科書を執筆しても出版される頃にはその多くの内容が時代遅れとなるAI分野について、個々の教員で授業コンテンツを用意するのは必然的に限界があります。私たちは、情報学研究科を中心に様々な分野の第一線の研究者の叡智を結集するまさに「センター」という組織によって対応します。

情報学研究科 次世代情報・AI教育研究センター センター長
河原 達也